2025年9月29–10月4日:IUPESM World Congress 2025

オーストラリアのアデレードで開催された IUPESM World Congress 2025 に、学生の戸塚凌太 (D2)、田中真一 (D2)が参加しました。

  • 日時:2025年9月29–10月4日
  • 場所:Adelaide Convention Centre (Australia)

                   ↑博士課程2年:田中

放射線腫瘍学分野博士課程2年 田中真一

9 月 29 日から 10 月 4 日まで、オーストラリアのアデレードで開催された IUPESM World Congress 2025 に参加しました。IUPESM は International Union for Physical and Engineering Sciences in Medicine の略であり、IOMP (International Organization for Medical Physics) と IFMBE (International Federation of Medical and Biological Engineering) の連合体です。IOMP は世界各国の医学物理学会の集まりですので、IUPESM は医学物理学と、その隣接領域である医工学分野についての、世界大会といえましょう。今回は開催地がオーストラリアですので、参加者もアジア・オセアニア地域の人が多かったようです。

私は初日に ‘Proposal of pixel-wise MRI radiomics for grading prostate cancer’ と題して発表を行いました。この分野では初めての海外学会発表でした。私のセッションは出席者が少なかったものの、参加した聴衆からは割と好評をいただけたように思います。ところで世界大会というと、各国のエリートが集まるハイレベルな学会と思いたくなりますが、実際のところは必ずしもそういうわけではないように感じました。スポーツの世界大会とは異なり世界一を決めるわけではありませんから、はるばる遠方まで足を運ぶ価値があるかどうか、という観点から、今回はヨーロッパやアメリカからの参加者が少なかったものと思われます。発表技術にしても研究内容にしても、先日の日本医学物理学会と大きな差があるようには感じられませんでした。

こうした国際学会に参加する意義の一つは、諸外国でどういう研究が行われているのか、どういう人々が研究しているのかを知ることができる、という点にあるように思います。私は、三人の優れた大学院生に出会いました。ナイジェリア出身の B. S. Yahaya 氏は画像解析による肝細胞癌の診断について、深い洞察に基づく野心的な研究を行っていました。オーストラリアの R. Brown 氏は STAPLE 法による Consensus Segmentation の形成を巡る技術的問題について興味深い解析を行うと共に、高い発表技術を披露していました。同じくオーストラリアの C. White 氏は風格のある人物で示唆に富んだ質問を発し、私は当初、さぞや名のある教授に違いないと勘違いしたほどでした。
もう一つの意義は、海外の研究者に自分の存在と名前を認知してもらい、将来の共同研究や就職の可能性を広げることにあると思いますが、この点では私がどれだけ成功したのか、しなかったのか、今はわかりません。

その他にも各国の研究、教育、経済、政治など幅広い話題について個人的に意見交換できたのは貴重な経験でした。空き時間にはアデレードの街を視察し、インド洋 (南極海とする意見もある) を眺め、未知の動植物に驚愕し、南十字星の観察などを行いました。あいにく、私はカメラも携帯電話も (ついでに申し上げれば腕時計も) 持たずに行ってきましたので、写真をご紹介できないのが残念です。

©Division of Medical Physics, Department of Radiation Oncology, Tohoku University Graduate School of Medicine