2018年10月11日~13日:第31回日本放射線腫瘍学会
第31回日本放射線腫瘍学会で、医学物理グループから、助教の角谷先生、博士4年の金井さん、博士1年の阿部さん、池田さん、修士1年の田中、根本が発表しました。
■日時: 2018年10月11日~13日
■場所: 国立京都国際会館
■学会: 日本放射線腫瘍学会 第31回学術大会

東北大学大学院医学系研究科 放射線腫瘍学分野 医学物理士養成コース
修士課程1年 根本光
2018年10月11日~13日に国立京都国際会館で開催された第31回日本放射線腫瘍学会(JASTRO)に、医学物理グループから、助教の角谷先生、博士4年の金井さん、博士1年の阿部さん、池田さん、修士1年の田中、根本の合計6名が発表して参りましたので報告いたします。
放射線治療は、従来に比べて空間的線量分布が改善し、治療期間や治療時期などの時間的因子も治療成績に大きな影響を与えることが知られています。最近ではIGRTの一般化により適応放射線治療も可能になってきました。このような最新の技術を放射線治療の基本である「時間と空間」の原点に戻って考えるという背景から、今回の学術大会は「時間と空間の最適化」をテーマに開催されました。
本学会の2日目には、「Deformable Image Registration (DIR) の基礎から応用まで」というシンポジウムが設けられました。シンポジウムは、著名な先生方がDIRの基礎から将来の展望に至るまで、またDIRが抱える問題点など幅広く口演されており、自分自身の研究にも関わる内容でしたので大変参考になる口演でした。今年、JASTROからガイドライン(DIRガイドライン2018)が発刊され、今後さらに臨床利用が進むと考えられます。そのDIRという技術をどのように放射線治療に活用し、どのような精度評価が必要であるかを考えることの重要さについて改めて学ぶことができました。
また、助教の角谷先生が前年JRR誌に投稿された放射線腫瘍学関連の全てのカテゴリーの論文の査読者を対象とした優秀査読賞と臨床成績、放射線治療物理などを対象とした放射線腫瘍学関連の全てのカテゴリーの論文で、前年度最も引用された論文の著者を対象としたHighly Cited Awardを受賞いたしました。おめでとうございます。
さて、私は「4DCBCTを用いた経時的な肺機能変化に基づく放射線治療法の開発に向けた初期検討」という内容で口頭発表して参りました。治療前に撮影する4D-CTから作成した肺機能情報に基づく放射線治療法は、治療期間中におこる肺機能の変化を考慮できていないため適切に機能肺への線量低減ができていない可能性が考えられます。そこで、治療期間中に撮影される4D-CBCTから作成した肺機能情報に基づく放射線治療を開発することで、治療期間中の肺機能の変化を正確に把握することが可能となり、機能肺への照射により発生すると考えられる放射線肺臓炎の発生の低減や腫瘍への線量増加が期待できると考えられます。その初期検討として、4D-CBCT画像から4D-CT同様に肺機能画像を作成可能であるか報告するという内容です。肺機能画像を用いた放射線治療法で4D-CBCTを使用している報告はまだ少ない状況ですので、今後も4D-CBCTを用いた研究を継続して行い、様々な学会等で発表していければと思います。

左:学会初日メンバーの集合写真 右:優秀査読賞の表彰

Highly Cited Awardの表彰