2024年11月21日~11月23日:日本放射線腫瘍学会第37回学術大会

11月21日から11月23日までパシフィコ横浜ノースで行われた日本放射線腫瘍学会第37回学術大会に、医学物理グループから角谷倫之講師、勝田義之助教、田中祥平助教、星野大地助手、博士4年の根本光、博士2年の梅田真梨子、博士1年の戸塚凌太、田中悠輝登、修士2年の林千莉、修士1年の佐藤滉晟、中島武琉、根本丈瑠、特別研究生の高橋秀侑が参加しました。

放射線腫瘍学分野 修士課程1年 佐藤滉晟

今大会は、患者満足度を高めるために必要な“至誠“と、常識や従来のエビデンスを見直して新しい発想で実践する“慧眼“を組み合わせた「至誠慧眼」をテーマに、患者の希望や人生哲学に寄り添った高度な医療を提供するPGRT(patient-guided radiotherapy)について深く議論されました。


角谷倫之講師は今大会にて複数回登壇しました。1つは”AIと共にある放射線治療の未来”というセッションで、AIを用いた自動治療計画の現状と課題、そして計画業務における医療従事者の専門性とAIの能力が補完し合う未来について講演しました。もう1つは大会テーマセッションの”慧眼を語る”にて、20年にわたる放射線画像研究を通じて5-10年先を見据えた視座で技術開発に取り組み、即時適応放射線治療やAI技術の実用化を推進してきた経験から、次世代を担う若手研究者が持つべきマインドセットについて講演しました。


さらに、角谷講師の他にも、今大会に参加したほとんどの学生が自身の研究について口頭発表を行いました。研究内容としては、主に治療計画における臓器輪郭作成や線量分布作成に関する課題に対し、AI技術を用いて解決を目指すものとなっています。各々の研究成果は治療計画の効率化や治療の質の向上に寄与するもので、医療従事者と患者の双方にとって大きな価値があります。

↑ 修士2年 林千莉の発表

↑ 修士1年 中島武琉の発表


そして、私事ですが、学生・研修医賞候補者セッションにて『男性の骨盤部における非典型症例に対する追加学習を用いた自動輪郭抽出の改善度評価』という題で口頭発表を行いました。

低中所得国では、現在一定数のがん患者が存在しており、今後も増加傾向にあると予測されています。しかしながら、これらの国々では放射線治療を受けられる患者は限られており、医療の提供体制が十分とは言えません。その原因の一つとして、医療スタッフの不足が挙げられます。この問題に対処するためには、限られた人材リソースを補完し、より多くの患者に治療を提供できる仕組みが求められています。

そこで、私は放射線治療計画の立案において、人の介入を最小限に抑えることを目指した研究を行っています。特に、AIを活用した自動輪郭抽出技術に注目し、どのような症例に対しても一貫して高い精度で輪郭抽出が行える手法の開発を目指しています。この研究により、医療スタッフの負担を軽減するとともに、放射線治療の提供体制の向上に貢献したいと考えています。

また、私自身、初の口頭発表ということで非常に緊張していましたが、入念な準備とご指導いただいた先生方や先輩方のおかげで、質疑応答を含め、より良い発表となりました。

さらに、自身の発表以外の時間も、放射線腫瘍医や医学物理士による口頭発表やポスター発表、そして(個人的に気になっていた)ディベートセッションや炎上許容セッションなどにも出席し、その場でしか得られないたくさんの刺激を受けました。今大会で獲得した貴重な経験や多くの知識を今後の研究活動に遺憾なく発揮していきたいと思います。

最後になりますが、ご指導いただいた先生方や研究室の先輩方にこの場を借りて多大なる感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

©Division of Medical Physics, Department of Radiation Oncology, Tohoku University Graduate School of Medicine